2017年12月17日日曜日

The black cat: Edgar Allan Poe

[タイトル]
The Black Cat

[出版社]
Penguin Classics

[感想]
心優しい主人公が酒におぼれ、次第に飼っていた動物たちや自身の妻を虐待してしまう。とりわけかわいがっていた黒猫には手を上げないでいたが愛情が憎しみに変わりついに手を挙げてしまい、最後には木につるして殺してしまう。その日の夜に家が火事にあうが、奇妙なことに一か所だけ、首にロープがまかれた猫の跡のくっきり残った壁が翌日見つかる。その後殺してしまった黒猫によく似た猫を飼い始めるが、その胸元にあった白いぼんやりとした模様が次第にはっきりとし、絞首台の模様になる。恐怖、いらだちから主人公は妻を殺してしまいその遺体を猫とともに壁に埋める。最後には、自分の愚かさとその黒猫によって、遺体が見つかってしまい自分が絞首刑になる。
読み終えた印象は、当然の報いではあるが、後味は悪いなという感じでした。しかし、なぜか妙なすっきりさが最後にあります。黒猫は魔女の使いとよく聞きますが、この物語はその話を後押しするような、黒猫の不気味さが際立っています。

[印象的な英語表現]
The spirit of PERVERSENESS

「天邪鬼の心」
主人公を破滅に導いた要因の1つであり、この物語のテーマの1つでもあります。

No sooner had the reverberation of my blows sunk into silence than I was answered by a voice from within the tomb! — by a cry, at first muffled and broken, like the sobbing of a child, and then quickly swelling into one long, loud, and continuous scream, utterly anomalous and inhuman — a howl — a wailing shriek, half of horror and half of triumph, such as might have arisen only out of hell, conjointly from the throats of the damned in their agony and of the demons that exult in the damnation.

私の打った音の反響がしずまるか鎮まらぬかに、その墓のなかから一つの声が私に答えたのであった! ――初めは、子供のすすり泣きのように、なにかで包まれたような、きれぎれな叫び声であったが、それから急に高まって、まったく異様な、人間のものではない、一つの長い、高い、連続した金切声となり、――地獄にちてもだえ苦しむ者と、地獄におとして喜ぶ悪魔との咽喉のどから一緒になって、ただ地獄からだけ聞えてくるものと思われるような、なかば恐怖の、なかば勝利の、号泣――慟哭どうこくするような悲鳴――となった。
(佐々木直次郎訳)


最初は声の物質的な描写なのですが、次第に主人公の心の内側での捉え方のようになっています。私は「勝利」の部分が好きです。黒猫の「勝利」を、主人公の「敗北」を認めた、この「triumph」という表現に特に惹かれました。
[投稿者]
ママ

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