2016年12月12日月曜日

Nankichi Niimi: Gon, the fox

[タイトル]
Gon, the Fox
[出版社]
PENGUIN READERS
[レベル]
1
[感想]
「ごんぎつね」は新美南吉の作品の一つで誰もが知っているとても有名な物語です。日本語文では登場人物(主にごん)の気持ちを直接文字におこすのではなく、行動であったり、しぐさであったりそういったもので暗示的に読者に伝えようとする特徴がありますが、英訳されたものをみると、登場人物の気持ちを直接的に言葉として記してあって日本と外国との文学の文化の違いというものを少し感じられるよう一冊でした。

[印象的な英語表現]
Smoke was still coming out one end.


原文だと「青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。」という一文で「青い煙」という情景描写から「悲しみ」であったり「ごんの魂」であったりと読者それぞれの解釈を楽しむことができますが、英文におこすと情景描写というものが失われてしまうのが少しもったいなく感じました。このような思いを得るのも英訳された日本文学を読む醍醐味の一つかなと感じました。

[投稿者]
いんてぃら

[感想]
日本の学校教育でも扱われている「ごんぎつね」です。日本人が執筆したものを、米国生まれの編集者が翻訳しています。Level 1と読みやすいことに加えて,日本語のものと比較して読むとおもしろいです。例えばお葬式で人々が“white clothes”を着ていることに違和感がありましたが,原文では「白い着物」となっており,もともと日本の喪服は白であったこととつながり納得できます。その他にも,おはぐろをつけていることを“putting on make-up”と表現したり,火縄銃を“rifle”,彼岸花を単に“red flowers”と表現していることで,日本語のもつ意味やイメージについても考えさせられます。また,原文の「神さま」を“one of the gods”としているところに,日本にある多神教の概念がみてとれます。翻訳によってもたらされる言葉のもつ印象やイメージの変換,「日本語」そのものについて改めて意識できる一冊だと感じました。

[印象的な英語表現]
Hey, you old fox!”
原文の「うわあ,ぬすっとぎつねめ。」にあたる兵十のセリフです。
昔の日本を舞台に“hey”という英語特有の表現,oldのいまいましい,という意味での使用が印象的でした。
また,日本語の「盗む」という意味の単語が入っていないところに,直訳ではない,翻訳のおもしろさを感じました。

[投稿者]
ぴこ

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