2017年1月21日土曜日

Henry James; Washington Square

[タイトル]
Washington Square


[出版社]
OXFORD BOOKWORMS


[レベル]
4 level   (1400 headwords)


[感想]

ニューヨークの名医の一人娘であるCatherineは上流階級の令嬢であり、物静かで優しいけれど、美しくも賢くもない女性でした。誰も彼女に興味を持ちませんでしたが、Morrisという紳士が彼女のことを愛するようになります。彼らは結婚しようとしますがCatherineの父は猛反対します。
愛とお金、父と恋人、誠実さと打算…そういったものの間で翻弄され続けるCatherineの行く末も気になるのですが、登場人物たちの本質が見え隠れするところに魅かれます。セリフで物語が進行する部分が多いのですが、とても巧みで、Morris とCatherine の父が言い争っている場面の父の揚げ足の取り方などは、彼の知性と静かな怒りがありありと伝わってくる一方で、Morris の物言いには傲慢さや利己的な面が透けて見えています。


[印象的な英語表現]

上記感想で触れた、結婚を巡るMorrisとDr.Sloper(Catherineの父)の言い争いは秀逸です。

Morris: That does not mean I would spend Miss Sloper’s fortune. I would take care of it.
Dr. Sloper: Taking too much care would be as bad as taking too little.

現在無職で、過去に財産を浪費したMorrisは結婚したらCatherineの財産を使い果たしてしまうのではないかと疑う父に「自分の財産でなければ浪費しない」とMorrisが主張したところへ皮肉たっぷりの父の反論です。Morrisは “care=細心の注意”という意味で言っているのですが、父はその揚げ足を取って “care=(お金への)関心” がありすぎるのも考えものだ、つまり、お金目当てでCatherineに近づいているだろうと言っています。


Morris:      Do you want to make your daughter miserable?
Dr. Sloper: I accept that she will think I am cruel for a year.
Morris:      A year!
Said Morris, with a laugh.
Dr. Sloper: For a lifetime, then. She will be miserable either way — with you or without you.
1年間、娘からひどい人間だと思われてもしかたがないと言う父に対して、Morrisは「1年(なわけがあるか)!」と一笑に付します。これに対して父は「それならば一生だ」と譲歩する一方で、結婚してもMorrisのせいでCatherineは一生惨めになると嫌味を言っています。
このように口が立つ男性のもとに結婚の了承を得に行くのは嫌ですね。


[投稿者]
きゅー


[ポイント数]
これまでの合計は 20ポイント (2017/01/21)


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